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SOSの現場~フードバンクうつのみや~

フードバンクの現場をレポート!

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車の使用と生活保護利用の関係~水田良子(仮名45歳)さんの子育て~

水田さんは、母親と祖父母に育てられてきた。特に祖母が生活の面倒を見てくれていたそうである。祖母が倒れ3年前から介護にかかりきりとなった。祖母が亡くなる直前今度は母親が脳梗塞を発症し、数か月の闘病の末、祖母と母親を相次いで亡くした。現在は、市営住宅に特別支援学校高等部(3年)へ通う独り息子(利男くん18歳)と暮らしている。家族の介護中心の生活だったため、ここ3年間は、定職に就くことが難しかった。貯えを取り崩す生活も限界を迎え、そこで、愛着を持って23年乗り続け、間もなく車検(車検の費用ももちろん無い)予定の車を売り生活費に充てようと考えた。しかし、この車で毎日息子の学校への送迎を行っていた。直情的な水田さんは「生活費のため車を売るので、学校への送り迎えが出来なくなってしまう。だから退学します。」と担任の先生に電話をしてしまった。夏休み直前の学校は大騒ぎ、何とか水田さん親子の生活を立て直し無事卒業させたいと、担任の先生とスクールソーシャルワーカーの二人が付き添い、水田さん親子は市役所へ生活保護の利用申請に行った。結果は「仕事を見つけ、生活費を稼いでください。」と、申請は受け付けられなかった。その日は帰りにフードバンクを訪れ、食品を準備しながら経過を聴き改めて申請に行ってみようということになった。翌日、宮ハローワークからの仕事の紹介を受けながら、生保利用申請に再挑戦。仕事を探し、利男くんの学校にいる時間・送迎の合間の短時間の就労を早急に行うことが条件だった。学校の先生たちも利男くんが学校に通うことが可能となったためほっと胸をなでおろしたという。

8月3日の厚生労働省(社会・援護局保護課)発表資料によると前年同月に比べ申請件数、開始世帯数ともに10%ほど増加している。社協の総合福祉資金貸付が終了したこともあると思われるが、コロナ禍の人々の生活は決して改善していないと言うことである。

さて、ここで生活保護利用者自ら所有する車をどのように利用するかという問題。売却して生活費の一部にする「資産の活用」と、経済的自立につながるための社会生活を支える「資産の活用」がある。

就労可能な年代の利用者には、コロナ禍の就労困難な状況を反映してか、即座に車の処分をするような「強い指導」はあまり見られなくなったように感じている。しかし「半年間は所有を認める」など期限を区切ったものである。「自立」とは、「経済的自立」≒就労し生活保護利用からの早期離脱は中心となるものの、そのことを成し遂げるためには、「日常生活の自立」、「社会的な自立」が支えにならなければならないと考える。

水田さん親子の場合、車を処分し一時の生活費が手に入ったとしても、仕事探しに支障が出ることはもちろん、買い物などの日常生活、利男くんが学校に通えなくなるなど、親子の社会生活参加を奪ってしまいかねない事態であったことは明白である。生活困窮者の「自立の助長」を積極的に図っていく生活保護の目的の即し、利用世帯の実情に見合った「指導」「援助」が求められている。車の所有について考え、利用者の支援に結び付けたいと思う。

 

フードバンクには様々な人が訪れ、社会が抱える問題を教えてくれます。生活することに困ってしまった人たちの支えやセーフティネットになれるよう頑張りますので、ご支援よろしく願いします。

 

 

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