事業名 | 栃木県真岡の妊娠・育児期の孤立・虐待予防 |
実行団体 | 特定非営利活動法人そらいろコアラ |
実施時期 | 2022年6月~2023年2月 |
事業対象地域 | 栃木県真岡市 |
事業対象者 | 栃木県真岡地域在住の、要支援及び特定妊産婦、要支援児童およびその家庭 |
事業対象者人数 | 220名(概算) |
団体の目的
子どもと家族への包括的・長期的支援によって、子どもを取り巻く虐待、貧困、不適切な養育などの問題、その他人権を犯す行為から子どもたちを守り、安全な場での健全な育ちと自立を促すことを目的とする。
また、行政や医療機関、民間団体等の関連機関との連携により、子育てを地域にひらき、虐待の連鎖を防ぐ基盤をつくり、誰もが健康で、安全に、安心して生活できる地域づくりに寄与する。
団体の概要・事業内容等
医師や助産師、保育士、社会福祉士、弁護士、管理栄養士等の多職種からなる団体で、2020年に県内全域で活動を開始し、翌年より真岡市で活動。
妊娠~子育て期の無料LINE相談や、自治体・民間団体との支援連携、困窮家庭への育児・生活物資の無償提供と訪問相談、子どもや妊産婦の居場所、子ども食堂、新型コロナ感染育児家庭への無償物資提供、多胎児家庭や外国籍家庭のニーズ調査など、出産前からの切れ目ない支援を行う。
事業の背景・社会課題
コロナ禍での妊娠・子育て家庭の孤立と、虐待等の不適切な養育、およびその世代間連鎖が課題だ。特に栃木県真岡地域は、外国人の人口比率が県内で最も高い等の地域特性によって支援を必要とする家庭の課題が多様化・多層化しやすい一方、行政と民間の支援連携が進んでいない。
令和2年度の全国の児童虐待相談対応件数は20.5万件と過去最多となり、心中以外の虐待死例の約半数を0歳児が占める。虐待死事例には、予期しない妊娠や貧困、養育者の精神疾患や抑うつ状態等の傾向がみられ、育児に困難を抱えやすい背景をもつ女性が周囲から孤立し、必要な支援に繋がっていない可能性が示唆される。長期化するコロナ禍に「産後うつ」のリスクが増加しているとする調査(筑波大学など)も複数あり、虐待とその世代間連鎖を防ぐためには、妊娠前からの切れ⽬のない支援と、アウトリーチによる孤立予防がよりいっそう必要である。
真岡地域はこれまで、要支援児童や特定妊婦、要支援妊婦等への民間の支援活動が乏しく、行政との連携も進んでいない。我々が昨年末に開始した当該家庭への物資提供等事業は、約4か月間で市より約20件の対応依頼を受けて支援連携を行うに至っており、その中には顕著に困窮・孤立した妊娠期・育児期の家庭や、外国人家庭も多い。自治体として提供できる支援に限界がある中、これまでは他の社会資源を活用できずに抱え込んでいた可能性が示唆される。我々は、本年以降もさらに活動を強化し、民間団体や医療機関、地域住民等との子育て支援連携を進めることで、行政も巻き込んだ地域の子育てネットワークの構築を目指したい。
さらに、同市の現行の子ども・子育て支援プラン(令和2年からの5か年計画)には、要支援児童等を対象とする子どもの第三の居場所設置の必要性の言及がなく、他市で見られるような事業化に至っていない。早期の実現に向けた市への働きかけが必要である。
事業の概要
栃木県真岡地域における妊娠・育児家庭の孤立、不適切な養育とその世代間連鎖の予防を目的に、
①自治体・医療機関と連携した要支援児童・養育者の居場所の提供、
②特定妊婦・要支援妊産婦の居場所の提供・対面相談、
③要支援家庭への物資提供および訪問相談を行うとともに、必要に応じて
④行政・民間団体・医療機関らと支援連携を行う。さらに、
⑤妊娠・出産・育児に関する無料のLINE相談窓口や
⑥地域イベントの定期実施による、アウトリーチでの要支援家庭の発見と、地域団体及び住民の子育てコミュニティづくりを促す。さらに、
⑦変化するコロナ禍の課題・ニーズを把握し支援につなげるための調査・提言活動を実施する。
事業実施後(1年後)以降に目標する状態
真岡地域で、地域住民や行政、その他機関が連携して子どもの貧困、孤立を防ぐネットワークができる
a.要支援家庭約70世帯と繋がり、孤独や孤立、不適切な養育を予防している
b.行政等との連携体制を整備し、要支援家庭のニーズに応じた支援ができる
c.市の子ども・子育て支援プランに居場所事業が盛り込まれる等、委託事業化等による事業継続目途がたつ
d. ニーズ理解とアウトリーチによりケースを発見・支援できる