休眠預金事業 団体紹介

特定非営利活動法人キーデザイン

事業名不登校支援の包括的な支援体制の整備と強化
実行団体特定非営利活動法人キーデザイン
実施時期2022年6月~2023年2月
事業対象地域栃木県を中心に全国
事業対象者不登校に悩む保護者に直接関わり、最終的にその子どもも受益者となる。
事業対象者人数3000家庭以上

団体の目的

不登校の状態にある子ども、その家族のサポートをし、家族以外とのつながりや地域とのつながりを持つことで、未来のひきこもりを予防し、子どもとその家族が安心して過ごせる社会を目指す。

ビジョンはひとりにならない社会、ミッションは家族をほぐし、子育てに伴走する。私たちは学校を戻すことを目的にせず、子ども達が未来に自立して生きられる、地域包括的な教育環境を整えていく。

団体の概要・事業内容等

・不登校の小中高校生向け家庭教師「ホームスクール」
アウトリーチ型の支援。現在利用者5名。事業開始から約1年半で8名が利用。

 

・不登校の小中学生向けの居場所「フリースクール ミズタマリ」
居場所型の支援。事業開始から約3年が経ち40名以上が利用。

 

・不登校の子どもの保護者向け無料LINE相談窓口「お母さんのほけんしつ」
相談型の支援。事業開始から約2年で1,200名以上が登録。

事業の背景・社会課題

不登校の子どもの人数はここ8年増加の一途をたどり、2021年度には19万6,127名となった(文科省)。

うち55%が年間90日以上欠席しており、体調面、心理面の双方から憂慮すべき状況にある。小中高校生で自死をしたのは415名(前年度の317名から100名近く増加)。

新型コロナウイルスの流行により、学校内の活動が制限されたり、生活スタイルが変化したりといったことで子ども達にかかるストレスが増幅してしまったことも背景にあると推察する。
2020年5月に開始した無料LINE相談窓口「お母さんのほけんしつ」は、オープンから約2年が経ち1200名を超える全国の悩める保護者が登録、相談している。

この窓口で保護者からとったアンケート(不登校の親158名が回答)によれば、回答者のうち83.3%の子どもがコロナ禍による変化をきっかけとして不登校になっていることがわかった。「学校の学習や感染予防の指導に対して不信感が募った」「オンライン授業を真面目に受けられず、自制心がきかなくなり、ゲームに熱中、昼夜逆転するようになった」「入学時期がちょうどコロナ休校に重なり、生活リズムや学習スタイルをうまく移行できずに不安定になった」といった声があった。「死にたい」など希死念慮を持つような発言が見られたのは全体の37%にものぼり、16%の子どもには自傷行為も見られている。
不登校は、家庭内不和を生み、親と子を孤立させることにつながる。窓口では「何度心中を考えたことかわかりません」「子どもの不登校から母である私がうつ病になりました」といった声も多く、保護者の精神的疲労が子どもの自死へつながっている可能性も十分にありうると考えられる。そのため私たちは子ども達だけでなく、保護者のケアにも取り組む。子育てに伴走すること、またその先にひろく地域社会とつながり子どもが安心して育っていく環境を整えていく必要がある。

事業の概要

相談支援の充実化と地域コミュニティへのマッチング促進のためのアクションを起こす。3つある。

1つ目は、LINE相談の延長で行っていた有料電話相談の無償化。これにより、支援のスピードアップ、質の向上が可能となり、短期間での課題解決につながる。

2つ目は、オンラインでの親の会の実施。同じ境遇にある保護者同士で対話する場を設けることで、孤独感を解消し、前向きに歩めるようにする。

3つ目は、栃木県版のフリースクールや親の会など不登校支援に関する情報を掲載するポータルサイトを作成する。昨年度作成した「栃木県フリースクールマップ」を参考にし、webサイトにすることで誰もが閲覧できる環境を整える。

事業実施後(1年後)以降に目標する状態

・2022年4月時点で1220名いる登録者を、2023年3月時点で2000名に増えている


・県内の市町や教育委員会など、行政との連携のための準備が始まっている


・県内のフリースクール、親の会などコミュニティへの参加者が増えている


上記3つの達成により、子どもの不登校にひとりで悩む保護者を減らす。